■ 創作論 ■

■シンプルさが持つ強みとは

作例:『SRC戦略カードゲーム』の紹介

ここからは僕の得意分野に当たるゲームシステム関係について、『SRC戦略カードゲーム』を作例として進めていきたいと思います。
『SRC戦略カードゲーム』はごく小さなマップ上で、少数の特徴的なユニット同士を戦わせるというパズル色の強いシナリオになっています。
カードゲームと言うと、ソーシャルゲームみたいなのを思い浮かべるかもしれませんが、これは全然別物です。
このシナリオは第11回シナリオグランプリ※1にて、戦闘部門3位をいただきました。
僕のシナリオの中では知名度が低い方かもしれませんが、作者的には結構気に入ってたりします。
これまでSRC以外にもある程度応用が効くようにお話してきましたが、この項からSRCを例に上げることが多くなると思われます。ご了承ください。

※1 2010年に行われたSRCのシナリオグランプリでこの時の全投票者数は92人

スムーズな導入を

ゲームにおいて――特に無料公開されているゲームに関しては『ルールが分かり易い』ことが重要な要素になってきます。
簡単に無料でゲームが手に入るご時世です、プレイヤーさんは面白いかどうかも分からないゲームのルールを覚えるための時間を割いてくれません。
プレイ前の段階でよほどの期待感を持ってもらえない限り、複雑でわかり辛いゲームは敬遠されてしまいます。
そこで大切なのはしっかりと分かり易い解説を付属したり、そもそも複雑なシステムを導入しないことです。
SRCシナリオでも凝ったシステムを積んだシナリオはいろいろとありますが、複雑だったり、分かり辛かったりして、返って『いらない』という評価を下されたりしてしまうこともあります。
せっかく頑張って凝ったシステムを作ったのに、そのような評価をもらってしまうのは非常にもったいないです。

シンプルさが持つ強み

シンプルな方がいいと言っても、それではゲームの深みがなくなってしまうのでは?と思われるかもしれません。
ですが、シンプルなままでいて、ゲームに深みを持たせることは十分可能です。
その極みがパズルゲームなのではないかと、僕は思っています。
大抵のパズルゲームはブロックを3つ並べたり、同じ絵柄同士を隣り合わせるなど簡単なルールで成り立っています。
その簡単なルールを積み重ねることで、ゲームの深みを表現しています。
いきなりパズルゲームの話をされても困ると思われるかもしれませんが、このことから学べる部分は大いにあると思います。

如何にいらないものを削るか

さて、ここで作例であるSRC戦略カードゲームの話をしましょう。
このシナリオは、いらない要素は極力削るというのがコンセプトの1つです。
例えば、通常SRCシナリオのユニットはパイロットとユニットの2つの要素で成り立っているわけですが、このシナリオではパイロット能力を全てオミットしてあります。
ユニットの能力も極力最低限に。武器に関しても最低限個性を発揮できるように1~2個のみです。
このように、通常のSRCシナリオに比べると圧倒的に情報量が少なくなっています。
そのため、ユニットの特徴や運用方法を掴み易いはずです。
このようにシンプルなユニット性能ではありますが、ゲームの深みがないわけではなく、きちんと戦略性のあるゲームになっていることはグランプリの評価からも読み取っていただけると思います。

まとめ

ゲームとして面白いものにしようとするあまり、複雑過ぎて理解できないゲームシステムを組み込んでしまったり、情報量ばかりが膨大な設計にしてしまうことがあります。
これらが逆効果となり、ゲームのテンポを悪くしたり、プレイヤーさんが離れていってしまう原因にもなりかねません。
作者本人は作った本人ですから、理解出来て当たり前ですが、プレイヤーさんは初めて経験するものです。
出来る限り、スムーズに理解してもらえるようにゲームを設計してやることがなにより大切だと思われます。


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