■ 創作論 ■

■未完で投げ出さない、目標管理のすすめ

作品を完成させるということ

作る対象の規模にもよりますが、ゲームでも小説等でも一つの作品を完成させるのは大変な労力が必要になります。
作る工程の中にも、楽しいと思える作業もあれば、面倒な作業もあったりします。
思うように制作を進められなかったり、途中で作るのが嫌になってしまったりすることもあるでしょう。
最悪、制作が中断されてそのまま凍結というようなこともあり得ます。
このような事態に陥ることなく、スムーズに制作を進めるにはどうしたらいいのか。その辺りのお話をしてみようと思います。

そもそも無理のある企画を立てない

例えば、SRCでいきなり全50話の構想を立てて作り始めたとします。
よほど企画に自信のある方、あるいはよほど筆の早い方でなければ正直完結まで作り切るのは難しいです。
これは僕の経験上ですが、長編の企画というのは進めば進むほど当初の情熱が薄れて、モチベーションが落ちていきます。
もちろんそうでない方もいらっしゃると思いますが、モチベーションを維持し続けるというのは難しいことです。
壮大な企画を立てて、いろいろ妄想するのは楽しいです。
しかし、それが本当に作品として作り切ることが可能なのかどうか。
ご自分の力量と相談しながら、もう一度考え直してみるのはいかがでしょうか。

目標を設定する

ここからが本題になります。
これから作る作品の詳細が決まったら、その次に目標を設定してみてください。
いつまでに作品を全部作り切るのか、何回かに分けて公開するのであれば最初の公開をいつにするのか、等です。
この『いつまでにやる』というのを具体的に決めるのがミソです。
例えば、SRCでたまにコンペの企画がありますが、あれは明確な締め切りが存在しています。
決められた日までに作らなければならないというのはそれだけで強力なモチベーションになります。
実際、コンペの締め切りは大体1か月程度ですが、参加表明した方はほぼきっちり締め切りに間に合わせて完成させています。
普段1か月で短編シナリオを作れる人というのはそう多くはないのではないでしょうか。
これが『いつまでにやる』という明確な目標があるがために実現できたことなのではないかと思います。

『いつやってもいい』は結局やらない

先ほどコンペの例を出しましたが、完全に個人で作る場合に期日を決める意味があるのか、と思われるかもしれません。
締め切りがないんだから好きな時に作ればいいというのはその通りですが、この『好きな時に作る』というのが落とし穴なのです。
『いつやってもいい』というのは結局あとあとやらなくなってしまうものです。
これはもう完全に気持ちの問題になりますが、自分で『この日までに作り切る』と決めて制作に臨むのと、『いつやってもいい』という気持ちで臨むのとでは制作の進み方に違いが現れるはずです。
外的な締め切りがないとどうしても甘えてしまいます。
だからこそ、自分で目標を設定して、それまでに作り切るという気持ちを持つことが、制作をスムーズに進める上で大切なことではないかと思います。

目標の設定の仕方

まずは大きな目標を立てます。
最初の公開をいつにするのか、作品全体が完結するのがいつになるのか、等です。
続けて、更に具体的に何回に分けて公開するのか、その公開予定がそれぞれいつになるのかなどを決めていきます。
これで終わりではありません。
『今月はどこまで作る』、『今週はどこまで作る』、『今日はどこまで作る』……と、可能であれば更に細かく目標を設定してみてください。
この目標をメモに書き残しておくことで、進捗の確認にもなります。
今現在、制作が順調なのか、遅れてるのかを確認するのは大切です。

達成できなくてもくよくよしない

目標を設定したのはいいものの、思ったように制作を進められずに目標を達成できず、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
達成できなかったのはもうそれはそれで仕方ないと割り切り、なぜ達成できなかったのか、目標に無理があったのではないかと自己分析を進めることです。
なにか落ち度があったのであればそれを改善し、そもそも目標に無理があったのであれば改めればいいのです。
予定とは遅れるものです。
もし、自分の設定した目標に無理があると感じたら余裕を持ったスケジュールを組むと良いでしょう。

1週間制作に関して

僕自身の話で恐縮ですが、お盆休みの1週間を利用してミニゲーム作品を作るという企画をここ数年続けています。
基本的にこれまで全て1週間で作り切って作品を公開しています。
この1週間制作に関してはこれまでお話して来たように、明確な目標を1日ごとに決めて制作を進めたからこそ完成できたものと思っています。
スケジュールは、1~5日目までを通常の制作に充てて、最後の2日間は最終テストプレイと公開の準備のみとして予定を組みました。
『予定とは遅れるもの』を考慮してのスケジュールです。
実際、蓋をあけてみると最終2日も制作に充てていることが多かったです。
さらに予定を変更して、入れようと思っていた要素を丸々カットしたりしたこともありました。
予定に間に合わせるためには妥協するという勇気も必要になると思います。これはまた少し違う話になりますが。

まとめ

例えば予定も立てずに休日に入ってしまうと、ダラダラと時間だけが過ぎていってしまうものです。
特に身近にはインターネットというものがありますから、油断していたらあっという間に時間を吸われてしまいます。
『今日はこれをしよう』という明確な目的意識があるのとないのとでは、行動のモチベーションが変わってきます。
目標を立てると言ってもなかなか難しいかもしれません。
まずは簡単なところで、今日家に帰ったらなにを作ろう。ということを考えてみてください。
会社や学校などで、ちょっとした考えごとをする時間くらいはあると思います。
『今日はこの作業をこう進める』と意識を持ってから創作に入るのと、なにも考えずに入るのとでは大分違うはずです。

最後に。ここでお話したことは全ての人に当てはまることではないと思います。
予定をきっちり立てずに、その場のノリで作っていくというのもライブ感あってそれはそれで面白い方向に転がったりすることもあるでしょう。
それも一つの考え方です。僕はなかなか実践するのは難しそうと感じますが……。
なかなか思い通りに作れず困っているという方は、ここでお話した『明確な目標を設定して作る』という方法を試してみてはいかがでしょうか。


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